愁嘆場しゅうたんば)” の例文
じゃこの芳年よしとしをごらんなさい。洋服を着た菊五郎と銀杏返いちょうがえしの半四郎とが、火入ひいりの月の下で愁嘆場しゅうたんばを出している所です。
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
お芝居としちゃあ結構な愁嘆場しゅうたんばかも知れねえが、しょうで見せられると根っからえねえものなんだぜ……お前さんも、そこをよく心得ていなくちゃいけねえ。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
眼もあてられない愁嘆場しゅうたんばで、送りの同心もつい貰い泣きをすることがあるそうです。……まあ、そのうちに竹法螺たけぼらが鳴って囚人は川岸から艀舟へ追いこまれる。
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
一場の不可解な愁嘆場しゅうたんばは衝立の蔭になっていたので、他の誰にも見えなかったのは幸でした。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
鶏卵を買いに出たという現場不在証明アリバイと、この愁嘆場しゅうたんばによって、ブラドンはたくみにクロスレイ夫人はじめ下宿の人々を瞞着だまして、底を割ることなく、この芝居を打ちとおしたのだ。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
思いもよらない愁嘆場しゅうたんばを見せられて、半七ももう仮面めんをかぶっていられなくなった。
半七捕物帳:20 向島の寮 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「なんだい一体! おもしろくもない愁嘆場しゅうたんばだよ。また泣きだしゃがった!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
春の日の午さがりだけあって、いかにも間の抜けた愁嘆場しゅうたんば……。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)