惣吉そうきち)” の例文
二人はやっとつかみ合いをやめた。彼等の前には薄痘痕うすいものある百姓の女房が立っていた。それはやはり惣吉そうきちと云う学校友だちの母親だった。
百合 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
界隈かいわいの物持で通っている植木屋へ、型の通りの怪盗幻の民五郎が入って、小判で二百両あまりの金をった上、主人惣吉そうきちの土手っ腹をえぐって逃げ失せたのです。
というと驚きまして、本家ではせがれ惣二郎そうじろうから弟息子の惣吉そうきちにお内儀かみさん村の年寄が駈けて来て見ると間に合いません間に合わない訳で、殺した奴が知らしたのでございますから。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
手代の惣吉そうきちが飛出して御近所の方を呼んで来ようとすると、後ろから呼止めて、振り返ったところへ、今ったばかりの売溜めの中の、銭を一枚投げられて、左の眼をつぶされてしまいました。