怜悧りかう)” の例文
「小母さんは怜悧りかうな人だから、自家うちへ来れば他人から呼び捨てにされないと、ちやんと知つてゐたんですよ」
鳥羽家の子供 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
教養けうやうの無い女だから爲方がないさ、我慢しろ。其も是も承知でれたんじやないか。」と怜悧りかうあきらめた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
その年から隣の町の沖合に例の幽霊船が現はれ始めた。ところがその町の町長は大へんに怜悧りかうな人だつたから、早速部下の者に命じてボートを降さしめ、其の船の近くまで漕ぎ寄せた。
不思議な船 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
はねさんで嘘吐きで怜悧りかうで愚かで虚栄家みえばうで気狂で而して恐ろしい悪魔のやうな魅力と美くしい姿……凡てが俺の芸術欲をそそのかしたぶらかし、引きずり廻すには充分の不可思議性をかくして居た、たと
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
怜悧りかうな樣でも幼稚なる和吉はうち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)