微塵棒みじんぼう)” の例文
微塵棒みじんぼうを縦にして、前歯でへし折ってかじりながら、縁台の前へにょっきりと、吹矢が当って出たような福助頭に向う顱巻はちまき
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「御菓子を」と今度は鶏の踏みつけた胡麻ごまねじと微塵棒みじんぼうを持ってくる。ふんはどこぞに着いておらぬかとながめて見たが、それは箱のなかに取り残されていた。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お三輪はひざを突き合わせないばかり和助の前にすわって、何かこの子をよろこばせるようなものはないかと母親に尋ね、そこへお隅が紙に載せた微塵棒みじんぼうを持って来ると
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
石塚は苔の花が咲いて横倒よこッたおしになって居りまする程の処、其の少し手前に葮簀張よしずッぱりがあって、すまいではありません、店の端には駄菓子の箱があります、中にはおいち微塵棒みじんぼう
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
楽屋番を相手に微塵棒みじんぼうをしゃぶっている時とは訳が違うから、そのつもりで返事をしろ。てめえは今朝、柳橋の芸妓屋へ這い込んで、親父を剃刀で殺したろう。覚えがねえとは云わせねえ。
半七捕物帳:19 お照の父 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)