復誦ふくしょう)” の例文
「……警報! 警報! 只今関東地方一帯に空襲警報が発せられました。直ちに非常管制に入って下さい。……復誦ふくしょういたします。只今……」
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そこで、あけみは、この複雑な演戯の順序を、正確に復誦ふくしょうして見せた。さすがに俳優である、少しのまちがいもなかった。
月と手袋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
つまり、私は、くたくたになって横たわったまま何時間も、昼の労働の精神的復誦ふくしょうをやってのける訳だ。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
皇帝にとってはその伝言がひどく大切だったので、使者にそれを自分の耳へ復誦ふくしょうさせたのだった。うなずいて見せることで、皇帝はその復誦の言葉の正しさを裏書きした。
皇帝の使者 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
お美乃は平次の言葉を復誦ふくしょうして、静かに顔を挙げました。
山岸少年は、電文を復誦ふくしょうした。一字もまちがいはない。中尉が「よし」というのを聞いて、ただちに電鍵でんけんをたたきはじめる。
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「よく分りました」警部は明智の指定した道順を復誦ふくしょうして見せた。「だが、どうして君はその犯人を探し出したのです。そいつは一体何者です」
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
又、犯罪当時の状況を詳しく話して聞かせて、それを復誦ふくしょうさせる方法もある。
心理試験 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)