御用窯ごようがま)” の例文
佐賀の城下で、陶工とうこう久米一くめいちが断罪となる日、彼の持窯もちがま——黒髪山くろかみやま御用窯ごようがまも破壊された。破壊された中から生れた物があった。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御用窯ごようがまとしての苗代川は白物を育てたであろうが、少くとも黒物を続け得たのは協存の賜物たまものと思える。
苗代川の黒物 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
が、捕手の目は、御用窯ごようがまの前に落葉にうずもれた百助の死骸を見出したのみで、なつめの姿も兆二郎のかげも、遂にひねもすの山狩むなしく見ることができなかった。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夕月のかかる前から、黒髪山くろかみやまの山ふところ、御用窯ごようがまに火が入った、まっ黒な煙か、峡谷から押し揚った。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)