御愛嬌ごあいきょう)” の例文
「ちと薄気味でも悪いようだと、御愛嬌ごあいきょうになるんだけれど……なんにもにも、一向要領を得ないんです、……時にだね、三輪みいちゃん。」
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
芸者の方でも昼間は暇だから、三度に一度は御愛嬌ごあいきょうに遊びに来る。といった風の調子であった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
憤慨ばかりが能ではあるまいから、一つ汽車中の駄洒落を御愛嬌ごあいきょうに記そう。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
「一円六十銭、——御愛嬌ごあいきょうに一円五十銭にして置きましょう。」
「お早うございます。なあにかえって御愛嬌ごあいきょうですよ。」
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
やっと元の台座に据えつけるという御愛嬌ごあいきょうがあって
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「へい、お立合にも申しておりやす。へい、ええ、ことの外音声を痛めておりやすんで、お聞苦しゅう、……へい、おきまりは五銅の処、御愛嬌ごあいきょうに割引をいたしやす、三銭でございやす。」
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
朝晩汐時しおどきを見ては拾っておきまして、お客様には、お土産かたがた、毎度婆々ばば御愛嬌ごあいきょうに進ぜるものでござりますから、つい人様が御存じで、葉山あたりから遊びにござります、書生さんなぞは
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)