御作おさく)” の例文
御作おさくさんは起きるが早いか、まだ髪結かみゆいは来ないか、髪結は来ないかと騒いでいる。髪結は昨夕ゆうべたしかに頼んでおいた。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「今年はこゝいらにならべたいと存じますが、いかがでせう。御異存が有りませんでしたら、うか御作おさくを一枚……」
拝啓久しく御無沙汰に打過ぎ候段そうろうだんひら御宥免被下度ごゆうめんくだされたく候しかし毎度新聞雑誌にて面白き御作おさく拝見つかまつりわれら芸術主義ののためかつは徳川の懐かしき趣味のため御奮闘ありがたく奉感謝かんしゃたてまつり
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
その私は「御作おさくが好い御客に引かされた」といううわさを、従兄いとこうちで聞いた。従兄の家では、この女の事を咲松さきまつと云わないで、常に御作御作と呼んでいたのである。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ほう、神経衰弱。それはお困りでせう。さう言へば、近頃一向御作おさくが無いやうですね。」