御仰おんおほせ)” の例文
『一一道理ある御仰おんおほせ、横笛が事、只今限り刀にかけて思ひ切つて候、其の代りに時頼が又の願ひ、御聞屆おんきゝとゞけくだ下さるべきや』。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
幾度となく繰返されし御仰おんおほせ、六波羅上下の武士より、我れ一人を擇ばれし御心の、我は只〻忝なさに前後をもわきまへざりしが、今の維盛卿の有樣、正に御遺言に適中せり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
武士の名殘も今宵こよひを限り、餘所よそながらの告別とは知り給はで、亡からん後まで頼み置かれし小松殿。御仰おんおほせかたじけなさと、是非もなき身の不忠を想ひやれば、御言葉の節々ふし/″\は骨をきざむより猶つらかりし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)