徒士町おかちまち)” の例文
徒士町おかちまちの路地裏に居ました時で。……京では堂宮の絵馬を見ても一日暮せるという話を聞きます。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
程近い徒士町おかちまち辺に閑居を構え、数寄すき風流の道に遊んでいるものでありました。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
下谷したや徒士町おかちまちの、今にて思へば棟割長屋なるに落ちつきたまひつ。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
宗吉が夜学から、徒士町おかちまちのとある裏の、空瓶屋と襤褸屋ぼろやの間の、貧しい下宿屋へ帰ると、引傾ひきかしいだ濡縁ぬれえんづきの六畳から、男が一人摺違すれちがいに出てくと、お千さんはパッと障子を開けた。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)