往返ゆきかへ)” の例文
村から一里許りのK停車場に通ふ荷馬車が、日に二度も三度も、村端むらはづれから眞直に北に開いた國道を塵塗れの黒馬の蹄に埃を立てて往返ゆきかへりしてゐた。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
壁一重の軒下を流れる小堰こぜきの水に、蝦を掬ふ小供等の叫び、さては寺道を山や田に往返ゆきかへりの男女の暢気のんき濁声だみごゑが手にとる様に聞える——智恵子は其聞苦しい訛にも耳慣れた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)