弾琴だんきん)” の例文
温熱おんねつのような殺気さっき弾琴だんきんに吹きはらわれて、ただ、ぼうぜんとふしぎそうに耳をすます軍兵の眼ばかりが光り合う。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
商家の主婦が商業上の智識を以て夫の事業を輔佐ほさすると、これに反して錦繍綾羅きんしゅうりょうらまとうて煎茶せんちゃ弾琴だんきんを事とし、遊興ゆうきょう歓楽かんらく無用の消費に財を散じ、良人おっとの事業に休戚きゅうせきを感ぜざる事や
国民教育の複本位 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
と気づいたので、館のあるじは、侍女にいいつけて、弾琴だんきんをとりよせた。主は七げんきんのたしなみを持ち、朗詠ろうえいが上手であった。微吟、風流、おのずからすさぶる男たちをも優しくなだめた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)