弦鳴つるな)” の例文
言葉の終った刹那、陳宮の手に引きしぼられていた弓がぷんと弦鳴つるなりを放ち、矢は曹操のかぶと眉庇まびさしにあたってはね折れた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
声に応じて弦鳴つるなりがし、正成の左臂に矢があたった。
赤坂城の謀略 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかもなお龐徳ほうとくは、不死身のように、関羽の船を目がけて弦鳴つるなりするどく、矢を射ては、生き残りの部下を励まし、またかたわらの成何せいかへも叫んだ。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黒地に金のはくを散らし、それに密陀絵具みつだえのぐでかささぎが画いてある細弓だった。ぷーんと、弦鳴つるなりをひとつ調べ、矢をつがえて、花栄はあたりの人へいった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
帝がきこんで叫ばれると、曹操はつと馳け寄って、帝の御手から弓矢を取り、それをつがえながら爪黄馬そうこうばを走らすかと見る間に、ぶんと弦鳴つるなりさせて射放った。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この上は、ひとつ、三十三間堂から、いい弦鳴つるなりを聞かせてくれ。そしてやはり帰る所へ帰ってくれ。——貴公の兄上、貴公の妹、それからあの老先おいさきのみじかい御老母。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、にあわなかった。プツン! とたかい弦鳴つるなりがもうかなたでしてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)