“座舗(ざしき)” の例文
お勢は近属(ちかごろ)早朝より駿河台辺(するがだいへん)へ英語の稽古(けいこ)に参るようになッたことゆえ、さては今日ももう出かけたのかと恐々(おそるおそる)座舗(ざしき)へ這入(はい)ッて来る。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ト半(なかば)まで言切らぬ内、文三は血相を変てツと身を起し、ツカツカと座舗(ざしき)を立出でて我子舎(へや)へ戻り、机の前にブッ座ッて歯を噛切(くいしば)ッての悔涙(くやしなみだ)、ハラハラと膝へ濫(こぼ)した。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
見よう見真似に娘までが、お勢の方を顧みて、これもまた嘲けるようにほほと笑う。お勢はおそろしく赤面してさも面目なげに俯向いたが、十分も経(たた)ぬうちに座舗(ざしき)を出てしまッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)