広東かんとん)” の例文
広東かんとんに生れた孫逸仙等そんいつせんらを除けば、目ぼしい支那の革命家は、——黄興こうこう蔡鍔さいがく宋教仁そうきょうじん等はいずれも湖南こなんに生れている。これは勿論もちろん曾国藩そうこくはん張之洞ちょうしどうの感化にもよったのであろう。
湖南の扇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼の老人の家に蓄ふる竿の数は四百四本、薬味箪笥の抽斗数に同じく、天糸てぐすは、人参を仕入るゝついでに、広東かんとんよりのじき輸入、庭に薬研状やげんなりの泉水ありて、釣りたるは皆之に放ち置く。
釣好隠居の懺悔 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
「ばかをいえ。拙者にはいささか流浪の経験もある。四川しせん広西かんしい広東かんとんの旅もした」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は純粋の広東かんとん人で、常時いつもきたない支那服をまとい弁髪をさえ貯えていましたが、何ういう訳か彼女の家庭では一番勢力を持っていました。主人の彼女さえ季参の為には時々叱られる程でした。
温室の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)