幾年いくつ)” の例文
御前樣は幾年いくつにて別れ給ひしぞと問へば、そなたも早くよりの一人者とや我れによく似しことかなとほゝゑまる。
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「一層よいの、処女に限る。……其方そち幾年いくつだ? 二十九だったかな。年から云っても盛りは過ぎた。もう俺には興味はない。……代りに千浪をよこすがよい」
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
清らかに片づいたその店には、何一つおいてなかつた。私は八十を幾年いくつか越した筈の、お婆さんにことわつて茶の間の前にある電話にかゝつた。そしてをひを呼出した。
町の踊り場 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
其時森文部大臣がころされた。君は覚えてゐまい。幾年いくつかな君は。さう、それぢや、まだ赤ん坊の時分だ。僕は高等学校の生徒であつた。大臣の葬式に参列するのだと云つて、大勢おほぜい鉄砲をかついでた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
父 葉絵子はゑこは、今年、幾年いくつになつたんだつけな。
あの星はいつ現はれるか (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
もうこの頃は麟太郎は四十を幾年いくつか越していた。そうして彼の名声は既に日本的になっていた。ある時は彼は塾を構えて有為の人材を養成した。坂本竜馬、陸奥宗光、いずれも彼の塾生であった。
開運の鼓 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
朔郎 お前は一体、幾年いくつだつけな。
ママ先生とその夫 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「御前さん、幾年いくつになんなさる」
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)