干鯣するめ)” の例文
たった今、干鯣するめと酒を手にもって、天下国家を論じていたのかも知れない七人である。それが、同じ人間のたった一かつで、こうなってしまうのだから、情けない。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今も今とて樽神輿たるみこしのうわさをしていたところだった。青ぐろく引っれている彦兵衛の顔を見ると、同心たちは、おかしくなったのであろう、干鯣するめを裂きながら、笑って云った。
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
干鯣するめを持ったり、沢庵漬たくあんづけをかじったりして、慰労の酒に、兵たちが、はしゃぎ出した。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
干鯣するめか魚屑のにおいだろうか。鼻をつく異臭であった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)