干乾ひか)” の例文
山らしいものの一つも見えない空は冬でもかんかんとが照りわたり、干乾ひからびたわだちの跡と茫々とした枯草が虚無のようにひろがっていた。殆ど彼も妻と同じ位、その夢に脅えながらもだえることができた。
苦しく美しき夏 (新字新仮名) / 原民喜(著)
そして泣けるなら泣きいと思つた。が眼には涙が干乾ひからびてゐた。私はぢつとしてゐられなくなつた。何かしなくちやならないが何もできなかつた。それで無意識に立上つて次の間へ行かうとした。
父の死 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)