そこから廻り縁になって、別の一室にも、槍、薙刀なぎなた、鉄砲などが「なげし」にかけられて、山東京伝さんとうきょうでん草艸紙くさぞうし興味を味わせるのに十分であった。
不尽の高根 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
山東京伝さんとうきょうでんであれ、式亭三馬しきていさんばであれ、十返舎一九じっぺんしゃいっくであれ、為永春水ためながしゅんすいであれ、直接に当時の実社会を描き写して居るものが沢山ありますが、馬琴においては
山東京伝さんとうきょうでんはその著『骨董集こっとうしゅう』において延宝天和てんなころ既に俳優坊主小兵衛ぼうずこへえを描ける一枚絵ありし事を言へり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
山東京伝さんとうきょうでんが小説を書く時には、寝る事も食事をする事も忘れて熱心に書き続けたものだが、新しい小説の構造が頭に浮んでくると、真夜中にでも飛び起きて机に向つた。
夜釣 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
山東京伝さんとうきょうでん(西暦一七六一—一八一六年)は、『異制庭訓いせいていきん』にある「祖父祖母之物語じじばばのものがたり」(「むかしむかしぢぢとばばとありけり」というきまり文句ではじまる話)をわらべの昔ばなしととな
『グリム童話集』序 (新字新仮名) / 金田鬼一(著)
江戸のむかし、吉原の曲輪くるわがその全盛の面影をとどめたのは山東京伝さんとうきょうでんの著作と浮世絵とであった。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)