展墓てんぼ)” の例文
先祖の墓所が山口にあつて、父は明治の人として、外地への赴任の途次かならずや展墓てんぼを忘れなかつただらうからである。船は信濃丸といつた。
少年 (新字旧仮名) / 神西清(著)
所領地の不破へ帰り着くと、半兵衛重治は、その一日を祖先の展墓てんぼにすごし、また一ときを、菩提山ぼだいさんたたずんで
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
国許くにもとともおそばらずだったが、そのとき展墓てんぼのため(理由はほかにあった)帰国したといい、兄の和兵衛を訪ねて来たついでに、出三郎の住居をのぞいたのである。
艶書 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その展墓てんぼを最後として、駒井は老婆と共に墓地の中を出ることにしました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「一遍見て来て貰おう。有望なら展墓てんぼに行く」
村の成功者 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
私は久振ひさしぶり展墓てんぼの為帰省した。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
祖先の展墓てんぼを兼ねて、自分の出世を報告するために、——故郷は岩手県のどこかで、汽車をおりてからバスで半日ほどゆき、それから歩いて何里とかの山を越す、といったような寒村であった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
祖先の展墓てんぼのためだった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)