小涌谷こわくだに)” の例文
箱根は二十年も昔水産関係の用向きで小田原へ行ったついでに半日の暇を盗んで小涌谷こわくだにまで行ったのと
箱根熱海バス紀行 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
二人は燃え立つ紅葉のにしきうずまっている、小涌谷こわくだにの旅館に落ちついたが、どうせそのうちに低気圧は来るものとして、今日の日は今日の日だとはらをきめている庸三も
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それで、実は私は小涌谷こわくだにの方へ行くつもりであったのですが、貴君にお目にかかれはしないかと云う希望があったものですから、二三日、此処へ宿とまって見る気になったのです。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
蘆の湯から一里ばかり下の中腹にある小涌谷こわくだにや底倉、宮の下などは旅館も完備してゐて入湯するには何斯なにかが便利ではあるが散歩はいつも溪の底の單調な一と筋道に限られてゐる。
箱根の山々 (旧字旧仮名) / 近松秋江(著)