小忙こぜわ)” の例文
鶏が、そのあたりに小忙こぜわしく餌をあさっていた。それから、馬屋が近いらしく、ことこと踏み鳴らしている蹄の音が聞えていた。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
セエラがパン屑をやると、メルチセデクは静かに出て来て、それを食べました。彼は少し大きな屑を持って、小忙こぜわしげに帰って行きました。
たしかに風も出ているようで、戸を洩る空気の揺らぎで枕行燈の火が小忙こぜわしく明暗の色を投げる。
百石取の安馬廻うままわりの家を相続しているにはいたが、お納戸なんど向きのお使番つかいばんという小忙こぜわしい役目にわれて、道中ばかりしていたので、桝小屋ますごやの小さな屋敷も金作という知行所ちぎょうしょ出の若党と
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)