小待合こまちあい)” の例文
浜町二丁目五徳庵といふ鳥料理の近くなる小待合こまちあいに上りし時、あがばな持出る女中をふと見れば、まがふ方なくかの琉球屋敷へ出入の女なりしぞ奇遇なる。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
新時代の料理屋または小待合こまちあいの座敷を聯想れんそうさせるような、上等ならば紫檀したん、安ものならばニス塗の食卓を用いる事を許さないので、長火鉢の向うへ持出されるのは、古びてげてはいれど
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
新橋にてもこの程度にて遊べるところ路地ろじ小待合こまちあいには随分ありたり。神楽坂富士見町四谷かぐらざかふじみちょうよつや辺ならば芸者壱円にて帯を解くものもありしかど名ばかりの芸者にて長襦袢ながじゅばん胴抜どうぬきのメレンスなり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)