小動こゆる)” の例文
船は小動こゆるぎもせずにアメリカ松のえ茂った大島小島の間を縫って、舷側げんそくに来てぶつかるさざ波の音ものどかだった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ブルツと身顫みぶるひして体を半分もたげかけると、目の前にお由の大きな体が横たはつてゐる。眠つたのか、小動こゆるぎもせぬ。右の頬片ほつぺたを板敷にベタリと付けて、其顔を炉に向けた。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
今はただ木村という邪魔な考えが、もやもやと胸の中に立ち迷うばかりで、その奥には事務長の打ち勝ちがたい暗い力が、魔王のように小動こゆるぎもせずうずくまっているのみだった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)