富饒ふじょう)” の例文
「ありますとも。冀州は富饒ふじょうの地で、粮米ろうまいといわず金銀五穀の豊富な地です。よろしく、この国土を奪取して、将来の地盤となさるべきではありますまいか」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もしご先代が、あんな途方もないおしごとに、何十年にもわたって、莫大な藩財をおつかいなさらなければ、なにもこの富饒ふじょうな水戸が、いま頃、窮乏していることはないのだ。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
歌の詞をあんずるに、西頭一箇の漢とは高祖をさし、長安十二代の泰平をいって、同時に、長安の富饒ふじょうにおいでになったことのある丞相の吉方きっぽうを暗示しているものと考えられます。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひとみは四遠の地景をほしいままにし、胸には天空の月影を汲む。俯して杯をとれば、滾々こんこんくところの吟醸ぎんじょうあり、起って剣を放てば、すなわち呉の死命を制す……じゃ。呉は江南富饒ふじょうの土地である。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)