宿所しゅくしょ)” の例文
主「馬鹿だねお前何うもコレ百両という大金を戴きながら、其のお方のお名前も宿所しゅくしょも聞かんてえ事はありませんよ」
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
正成は五月十九日入京のむねを御所へ届け、一たん六条の宿所しゅくしょへさがって、めしの御指示を待ちかまえていた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、こうきまる上は、北国を廻って安全な道を、京の宿所しゅくしょは妙心寺内。」
新訂雲母阪 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
宇都宮公綱うつのみやきんつな宿所しゅくしょにも帰えらず、六波羅殿よりすぐに打ち立ち、主従わずかに十五騎にて、天王寺へ向いましてござりまするが、洛中におりましたるところのつわものども、それと聞き伝え馳せ加わり
赤坂城の謀略 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
宿所しゅくしょ姓名を書付けて別れて帰ったのが縁となり、渡邊織江方へ松蔭大藏が入込いりこみ、遂に粂野美作守様へ取入って、どうか侍に成りたい念があってたくんで致した罠にかゝり
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかし、このほうにもすきがなかったので、じゅうぶん図面ずめんをうつしとることもできず、風のごとくげうせたから、さだめし遠州えんしゅうの使者も宿所しゅくしょをはらって、けさは早朝に帰国したのであろう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信濃守しなののかみ目礼もくれいして宿所しゅくしょへかえる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)