家苞いえづと)” の例文
早く頬摺ほおずりしてひざの上に乗せ取り、護謨ゴム人形空気鉄砲珍らしき手玩具おもちゃ数々の家苞いえづとって、喜ぶ様子見たき者と足をつまて三階四階の高楼たかどのより日本の方角いたずらにながめしも度々なりしが
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
主公はこれを見て興にった。筍の周囲の土は、あらかじめ掘り起して、ゆるめたのちにまたき寄せてあったそうである。それでも芸人らは容易たやすく抜くことを得なかった。家苞いえづとには筍を多く賜わった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
枝柿の家苞いえづとも約束ごとのように誰れも忘れてゆかぬこそ面白い。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)