家番やばん)” の例文
別荘造りのような構えで、真ん中に広い階段があって、右の隅に寄せて勝手口のはしごが設けてある。家番やばんに問えば、目指す家は奥の住いだと云った。
田舎 (新字新仮名) / マルセル・プレヴォー(著)
恐ろしく巌畳がんじょうなアーチ形に出来た家々の門の前には遅く帰った人達が立って、呼鈴よびりんの引金を鳴らしていた。家番やばんもぐっすり寝込んだ時分であった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
学士と女とで、死人のように青い顔の病人を車へ連れ込むのを見て、家番やばん親爺おやじも手を貸そうとして進み出た。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
家番やばんのおじさんが鍵は持ってるだろうと思ったが、その通りでしたね。構わないからお這入りなさいよ。
産科病院の前へ着いて取りあえず岸本は家番やばんのかみさんを見舞った。入口の階段に近く住む家番のかみさんは彼を見ると、いきなり部屋から飛んで出て来た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
下宿の女中と家番やばんのかみさんとが来て彼の荷物を運んでくれたが、言葉は一切通じなかった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)