実名じつみょう)” の例文
渡してやった百両は一時のだましに違いない。実名じつみょう浜島庄兵衛はましましょうべえ、しら浪の通り名を日本左衛門にほんざえもんというのは彼です。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は女に向って、よし書くにしたところで迷惑を感ずる人が出て来はしないかといて見た。女は存外判然はっきりした口調で、実名じつみょうさえ出さなければ構わないと答えた。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分が文章の上において驚嘆の、これこそ大見識を有している偉人に相違ないと思い込んだ天道公平事てんどうこうへいこと実名じつみょう立町老梅たちまちろうばいは純然たる狂人であって、現に巣鴨の病院に起居している。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)