安来節やすきぶし)” の例文
安来節やすきぶしで名高い安来も、近年織物に金物の竹細工に努力を払いました。能義のぎ郡山佐村で織られる「裂織さきおり」も特色あるものであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
彼の前の五号室には、安来節やすきぶしの女が弟子二人と住んでゐたが、家賃の払ひが悪いので、赤い眼玉の主人は出て行つてくれるやうに云つた。
日本三文オペラ (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
安来節やすきぶしの小屋でカケ声をかけてゐることもあるし、浪花節でもレビューでも何でも行儀の悪い見物人ののさばるところはどこでもこの男を見かけることができて
足のない男と首のない男 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
安来節やすきぶしと白頭山節には感服した。哀調を帯びたアリラン節に魅せられたのは勿論のことである。
淡紫裳 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
このあいだに桜の散っていること、鶺鴒せきれいの屋根へ来ること、射的しやてきに七円五十銭使ったこと、田舎芸者いなかげいしゃのこと、安来節やすきぶし芝居に驚いたこと、蕨狩わらびがりに行ったこと、消防の演習を見たこと
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
江差追分えさしおいわけから安来節やすきぶしまでの港々の民謡に一抹の基調が通っているのはそのためである。
一目みただけで、この娘、売物と云う表情をしている、安来節やすきぶしの看板にもたれて休む。何とも陽気な只ならぬ気配で、床をふみならす音、口笛を吹きたてる群集。あらえっさっさアのソプラノ合唱。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
小林紋三こばやしもんぞうはフラフラに酔っ払って安来節やすきぶし御園みその館を出た。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)