孟春もうしゅん)” の例文
日はうららにもうららかな孟春もうしゅん四月の真昼どきでした。そして、案の定、右門のにらんだずぼしは、まちがいもなく的中したのです。
東山の常緑樹の間に点綴てんてつされていかにも孟春もうしゅんらしい感じをかもし出す落葉樹は、葉の大きいもの、中ぐらいのもの、小さいものといろいろあったが、それらは皆同じように
京の四季 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
因テコレヲ以テ序トナス。嘉永己酉孟春もうしゅん。試灯ノ節。枕山居士こじ大沼厚。下谷ノ凞凞きき堂ニしるス。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
孟春もうしゅん四月の半ばをすぎた城下の夜半は、しんとぬばたまのやみに眠って、まこと家のむねも三寸下がらんばかりな、底気味のわるい静けさでした。