字画じかく)” の例文
言うかと思うと、一幅いっぷくの書がどこからとも知れずに軒下へ舞い落ちた。それは筆をもって書いたもので、字画じかくも整然と読まれた。
そうして今度呼ばれれば、それが最後だという畏怖いふが私の手をふるわした。私は先生の手紙をただ無意味にページだけ剥繰はぐって行った。私の眼は几帳面きちょうめんわくの中にめられた字画じかくを見た。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)