嬰児あか)” の例文
旧字:嬰兒
悪戯いたずらびた私たちの心をんだ親雀の気のやさしさよ。……その親たちのねぐら何処いずこ?……この嬰児あかちゃんは寂しそうだ。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「御戦死なすった与倉中佐の奥さままで、まだ五十日にたない嬰児あかさんを背に負って、弾の来るなかを、芹を摘み、菜を摘んで、あなた方にあげたいと」
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御産婦に知れても、いけないだろうし、御重態の中佐に、嬰児あかさまの泣声が聞えてもいけまいと、わざと、わたし達の病棟へ持って来たらしゅうございます。
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さあ、団扇、それ、ははは……大きな女の嬰児あかさんだな。」と立ちも上らず坐ったまま、縁側から柄ばかり庭の中へ差向けたが、交際つきあいにも蛍かといって発奮はずみはせず、動悸どうきのするまで立廻って
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
嬰児あかさんを見にここまでお立寄りになったのでございましょう。あなたは動いてはいけません。そのままで中佐の名誉な御最期へお胸のうちで万歳をおとなえ下さい。
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ちょいと嬰児あかさんにおなり遊ばせ。」
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「しようのない嬰児あかちゃんだよ。」
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)