姥捨うばすて)” の例文
姥捨うばすてかんむりたけを右のほうに見ながら善光寺だいらを千曲川に沿って、二里ばかりかみのぼると、山と山の間、すべてひろい河原地へ出る。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
千曲川の岸に蓮華草れんげが咲き、姥捨うばすて山の山つづきに百鳥ももとりさえずりを交わすようになると、向かい合った稲荷山と篠井の里とは、薄紫の春霞はるがすみに朝と晩とを化粧され
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
やがて、「姥捨うばすて」という作品が出来た。Hと水上温泉へ死にに行った時の事を、正直に書いた。之は、すぐに売れた。忘れずに、私の作品を待っていてくれた編輯者が一人あったのである。
その五ツの星が個々にばらばらと炸裂さくれつすると、あざやかな光傘をサッと重ねて、かむり鏡台きょうだい姥捨うばすての山々を真っ青に浮かせて見せたかと思うと、その一つの星の色が、臙脂えんじから出た人魂のように
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)