妹弟きょうだい)” の例文
丁稚でっちから仕上げて、やっと小番頭になったところで、店の金を使い込み、親妹弟きょうだいをすてて、何処かへ逃げてしまったという話だが」
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
妹弟きょうだいの世話、床のあげさげが、次の妹へと順送りになると、煙草盆掃除から、客座敷の道具類の清ぶきになる間までに、庭掃除から、玄関掃除、門口に箒目を立てて往来の道路まで掃くこと
過去の罪を思うて、唐草銀五郎にわびるのか、不憫ふびん妹弟きょうだいたちへ詫びるのか、或いは、神のような形なきものへひれ伏したのか。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
次々と妹弟きょうだいが生まれたので、忘れられてしまったのか、とにかく、露の夜ごろ、虫の音のよいころではあるが、あいにく、武蔵野生まれでも、草の中でも、木の下でも生まれず、いたって平凡に
「お母さんさえ生きていたら、私はこんな女にもならず、ほかの妹弟きょうだいたちも、あんな不幸ふしあわせにはならなかったろうに……」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
掏摸すりという兇状をもった姉は、あの妹弟きょうだいたちにもない方がいい。ただ、どうぞ、しあわせであっておくれ、いいをまッすぐに育っておくれ……。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)