妖鬼ようき)” の例文
彼自身の庭が昔は妖鬼ようきの住んでた場所の一つだったということであるから、この第二の書物は彼にはいっそう興味が深かった。
しかし、物を洗い清める外気の中では、大地に接触しては、その纏綿は弛緩しかんし、それらの観念は妖鬼ようき的性質を失った。
といって、この、人の形をっている妖鬼ようきは、格別犯跡の隠滅いんめつとか足跡の韜晦とうかいを計って、ことさらに体の発見を遅らしたりして捜査を困難ならしめているわけではない。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
湯宿々々に埋伏まいふくして、妖鬼ようきごとを圧したが、日金颪に気候の激変、時こそ来たれと万弩まんど一発、驚破すわ! 鎌倉の声とともに、十方から呼吸を合はせ、七転八倒のさわぎに紛れて、妻子珍宝つかみ次第。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「実際あれは、リュボーディエールが妖鬼ようきについて語ってるところとよく似ている。あれは一つの妖鬼かも知れない。」
消え失せた獣類、虚無に近い最初の日の幻覚、母胎の中における恐ろしい眠り、物質の奥底にある妖鬼ようきの目覚め、そういうものの最後の名残りに違いない。
悪魔や妖鬼ようきなどが何かのしるしで自分よりまさった神のいることを知るように、テナルディエは相手がなかなか手ごわいことをさとった。それはほとんど直覚だった。