好人物こうじんぶつ)” の例文
平顔の目の小さいくちびるのあつい、見たとおりの好人物こうじんぶつ、人と話をするにかならず、にこにことわらっている人だ。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
好人物こうじんぶつで、善人で、人にだまされやすい弱い鈍い性質を持っていながら、贋物にせもの書画しょがを人にはめることを職業にしているということにはなはだしく不快を感じた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
金魚屋きんぎょやは、たところまことに好人物こうじんぶつらしいおとこで、つぎのような申立もうしたておこなつた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
あの好人物こうじんぶつの老人がむごたらしく瀕死の重傷を負っていたこと、それにつづいて牛丸君が見たとおり、老人がヘリコプターで誘拐ゆうかいされたそのものものしさから考えて、これはうっかり口にだせないと
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、宮内は、どこまでも好人物こうじんぶつらしく笑っている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)