女衆おなごしゅ)” の例文
「今晩は内にいやはりますよってどうぞ来ておくれやす。太夫こったいがそういうてはります」という、いつにない女衆おなごしゅが気の軽い返事である。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「は、とんでもねえ、それどころか、檀那だんながねえで、亡者も居ねえ。だがな、またこの和尚が世棄人過ぎた、あんまり悟りすぎた。参詣の女衆おなごしゅが、忘れたればとって、預けたればとって、あんだ、あれは。」
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小面こつらの憎い女衆おなごしゅはよく私の顔を覚えていると思われて、卑下しながら入口に立った私を見ると、わざと素知らぬ振りをして狭い通り庭の奥の方で働いていた。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
そう思って、その家へ電話をかけて女主人の都合を問い合わすと、いつも留守という返事であった。彼女が勤めていた時分にも電話をかけると、きまって、女衆おなごしゅの声で冷淡に
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)