女蘿さるおがせ)” の例文
女蘿さるおがせが女の髪のようにさがった大きな栂の木の陰から、顋鬚あごひげの真白な老僧がちょこちょこと出て来て半兵衛の前に立ち塞がって両手を拡げた。
山の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
こみちは杉やひのきの林の中へ入った。大きな山の姿も空の色ももう見えなかった。檜の枝には女蘿さるおがせがかかって、霧しぶきのようなものが四辺あたりめて冷たかった。
竈の中の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)