女持おんなもち)” の例文
直ぐにもう一つの紫の女持おんなもち絹ハンカチを摘み上げて、同じように窓の明りで透かしてみたが、これには何も見当らず、ただ強いヘリオトロープの香気がしただけであった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「うむ、玉水三郎……。」いいながらせわしなく懐中ふところから女持おんなもち紙入かみいれさぐり出して、小さな名刺を見せ、「ね、玉水三郎。昔の吉さんじゃないぜ。ちゃんともう番附ばんづけに出ているんだぜ。」
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)