天道様てんとさま)” の例文
旧字:天道樣
戦争のことは人間のすることですから、わしらにはわからねえですが、饑饉は天道様てんとさまのお仕置だから、わしも少しは知っています。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
博士は心理学者だけに人間の事はよく注意してゐるが、お天道様てんとさま雨降あめふり雪降ゆきふりかで無ければ余り気には掛けてゐなかつた。
「あの大夕立ですよ、天道様てんとさまだって、あんなキナ臭い喧嘩は見ちゃ居られませんよ」
今日も雨かと思うたりゃ、さあお天道様てんとさまが出なさったぞ、みんなうと呼ばって、胡麻塩頭ごましおあたまに向鉢巻、手垢に光るくるりぼう押取おっとって禾場うちばに出る。それっと子供が飛び出す。兄が出る。弟が出る。よめが出る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
と言つた程、お天道様てんとさまに惚れてゐる人なのだ。この人が暗い淋しい露西亜を出て、明るい陽気な「日出づる国」へ旅立するのに不思議はない筈だ。