天王山てんのうざん)” の例文
よど川尻かわじりで舟に乗った生絹は、右に生駒いこまの山、男山おとこやまを見、左に天王山てんのうざんをのぞんだ。男山のふもと、橋本のあたりで舟は桂川かつらがわに入って行った。
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
それを知った彼は場合によっては天王山てんのうざんに立てこもるつもりで、武器をしらべると銃が七ちょうあるに過ぎない。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
よど山崎やまざき天王山てんのうざん
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その暮れになって見ると、天王山てんのうざんにおける真木和泉まきいずみの自刃も、京都における佐久間象山さくましょうざんの横死も、皆その年の出来事だ。名高い攘夷じょうい論者も、開港論者も、同じように故人になってしまった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)