大身代おおしんだい)” の例文
あだかも、十四代から続いた大身代おおしんだいが傾きかけて見ると、主家を思う親戚しんせきがかえって邪魔扱いにされて、一人ひとり去り、二人ふたり去りして行く趣に似ている。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
時々うなぎ位用いたとても六十五万石の大身代おおしんだいでは減るようなこともあるまいゆえ、三日に一度位は油の乗った大串おおぐしを充分に食して、もッと胆を練るようにとな。
計らず大身代おおしんだいの龜甲屋を相続いたす事になりまして、公儀から指物御用達ごようたしを仰付けられましたので、長二郎は名前を幼名の半之助と改め、非業に死んだ実父半右衞門と
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
二を争う大身代おおしんだいうたわれている。
経帷子の秘密 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
先生は一番最後にそのむずかしい外国奉行を引きうけ、徳川の大身代おおしんだいを引き回した人の一人でした。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
是は文化文政の頃まで大評判おおひょうばんのもので本所相生町に居りまして地面の廿四ヶ所も持ち、炭薪の大問屋でございますが、わずかの間に儲け出し、斯様な大身代おおしんだいに成ったと申しますが
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)