大蹉跌だいさてつ)” の例文
折角、小野派の門に入って、二年近い間というもの、夢寐むびにも、修業の念を忘れずにきたのに、今ここで破門されては大望の上の大蹉跌だいさてつ、どこに再びこれ程の名師を求め得よう。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど弥四郎、助家らがいうていどの約言に、あまりな期待をもちすぎるのは兵略として、すこぶるあぶないことでもある。努めて抑止していなければ大蹉跌だいさてつを見まいものでもない。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが長篠ながしの大蹉跌だいさてつを境にして、顕著となって来たことはいうまでもない。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この大蹉跌だいさてつに、事態は急転直下、悪化を辿たどって、三条高倉の宮の御所は時を移さず、平氏の軍兵のとり囲むところとなったが、その指揮に向けられた判官兼綱は、僥倖ぎょうこうにも、頼政の息子であったので
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)