大沢だいたく)” の例文
旧字:大澤
が重き瞼の下に、眠れりとも見えず、覚めたりとも見えぬ眼の色は、瘴煙毒霧しやうえんどくむを吐く大沢だいたくの水の面にもたとふべきか。デカダンス派の父なるボードレールが
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
荘子そうじ』に曰く、「至人しじんしんなり。大沢だいたくくるもくあたわず。河漢かかんこおれどもこごえしむるあたわず」と。また曰く、「死生しせいはまた大なり。しかるにこれと変ずるを得ず」
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
梅花は予の軽蔑する文人趣味を強ひんとするものなり、下劣詩魔げれつしませしめんとするものなり。予は孑然けつぜんたる征旅のきやくの深山大沢だいたくを恐るるが如く、この梅花を恐れざる可からず。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
殊には、幾夜となく、探り歩き、さまよい廻っているところなので、深山大沢だいたくを思わすような吹上の道の曲折も、自分の庭を歩くように、忽ち例のお薬園まで、迷いもなく駆けつけました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)