大束おほたば)” の例文
「何だ、人の財布を預かつてゐると思つて、いやに大束おほたばを決めるぢやないか——まア宜いや、手拭一と筋で喧嘩にもなるめえ、素直に歸らう」
徳蔵もやはり御一新以後、苗字をつけることになりましたが、どうせつける位ならばと大束おほたばをきめたのでございませう、徳川と申すのをつけることにしました。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それでかれの一にち仕事しごとなはならば二十ばう大束おほたばが一草鞋わらぢならば五そくといふところなので
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
大束おほたばな事を言つて、お靜はソツと店中に眼を走らせました。近頃出來の店構へで何となく眞新らしい普請ふしんですが、その癖妙に陰氣で妙に手丈夫に出來ているのが、娘の繊弱デリケートな神經を壓迫します。
足の勇はいい心持そうに大束おほたばめて居ります。
女記者の役割 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)