大戸おおと)” の例文
福島県南会津郡大戸おおと村の雨乞は、猿丸太夫の古跡という上の沼へ、牛の頭を投げ込むのであるが、この事は大正十三年七月の大旱にも行われた。
日東にっとうサルベージ会社の沈没船引きあげのしごとが、房総ぼうそう半島の東がわにある大戸おおと村の沖あいでおこなわれていました。
海底の魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
人の見るがいとわしさに、早足に行く少女のあとにつきて、寺の筋向かいなる大戸おおとれば、欠け損じたる石のはしごあり。これをぼりて、四階目に腰を折りてくぐるべきほどの戸あり。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
三四年ののちのことであった、自分もその時分は三十前後のことだったが、冬のことで、ふとある晩、庫裏くり大戸おおとを叩いて訪れるものがある、寺男は最早もはやていたが、その音に眼を覚まして
雪の透く袖 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)