大名小路だいみょうこうじ)” の例文
十日には又寒い西北の風が強く吹いていると、正午に大名小路だいみょうこうじ松平伯耆守宗発まつだいらほうきのかみむねあきらの上邸から出火して、京橋方面から芝口へ掛けて焼けた。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その時分に比すれば大名小路だいみょうこうじの跡なるまるうち三菱みつびしはらも今は大方赤煉瓦あかれんがの会社になってしまったが、それでもまだ処々に閑地を残している。
天正の御入国以来のまとまった大名小路だいみょうこうじや屋敷町もあって、多少、城下としての落着きもあるのであったが、婆はまだ、そこへは足を踏んでいない。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大名小路だいみょうこうじ雉子きじばし御門横、砲筒御蔵ほうづつおくらの前の浅香の屋敷である。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と双方、端的な会話を投げ合って、吉宗が江戸城へむちを上げてゆくと、万太郎も、笠をおさえたまま、大名小路だいみょうこうじの陰へと、逃ぐるがごとく馳けこみました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)