夜啼よなき)” の例文
又或は何處どこかのうちとり夜啼よなきをするのが淋しく聞えたり、それから又、何者だかわからないが、見上げるやうな大きな漢子をとこが足音もさせないで
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
東海道名所記にも夜啼よなきの松のことを書いてゐるが、これも名所図絵にしるされた由来記ゆらいきと大同小異である。
小夜の中山夜啼石 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
電燈ばかり明るくてポンペイの廃墟はいきょの様にさびしい銀座の通りを歩いて東へ折れ、歌舞伎座前を築地の方へ往った。万年橋のたもとに黙阿弥の芝居に出て来そうな夜啼よなき饂飩うどんが居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)