夜具よるのもの)” の例文
彼が家の夜具よるのものは、宇都宮うつのみや釣天井つりてんじょう程に重く大きなものだ。彼が家の婆さんは、七十過ぎて元気おさ/\若者をしのぐ婆さんである。婆さんの曰く、わたしうちは信心なんざしませんや。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「それは好都合」と云ったかと思うと老人は金屏風をスーとあけたが渦高うずたか夜具よるのものが敷いてある。そうして誰か寝ているらしい。しかし白布で蔽われているので姿を見ることは出来なかった。
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
收めたり夜具よるのものも清くして取扱ひ丁寧なり寐衣ねまきとてあはせいだしたれど我はフラネルの單衣ひとへあればこれにて寐んと一枚を戻せしにいかにあしくは聞取りけん此袷きたなしと退けしと思ひ忽ち持ち行きて換へ來りしを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)